
日本の森の実態と新しい取り組みを調査・探検するために結成された、どんじゃら探検隊。
今回は森を離れて、木材の一大集散地として知られる、東京新木場を訪ねた。
木材のまち、新木場とは、いったいどんなところなのか?
丸太筏乗りを密かに楽しみとしていた隊員を待ち受けていた現状にせまる。
新たにマドンジャラ?!が登場して、どんじゃら探検隊の活動はますます活発化してゆく‥。
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新木場にマドンジャラ登場

さわやかな青空が広がり、海風が素肌に心地よい・・・、どんじゃら探検隊が今回訪れたのは、木材のまちとしてしられる東京新木場である。 「森や木を理解するためには、一時、森を離れて川下に目を向けることも必要だろう」という隊長の一言で、さっそく隊員たちが集結した。
いつもの面々に加 え、今回新たに美女隊員(どんじゃら探検隊のマドンナなのでマドンジャラと命名)も参加している。
明るい陽光の中を軽い足取りで進んでいくどんじゃら探検隊。
彼らが最初に目指したのは、 新木場て゛新しい取り組みを行っているという榎戸材木店である。 歩き初めて15分、隊員たちはみな自分がイメージしていた風景と現実とのギャップをはやくも感じてしまった。「もっと丸太や材木だらけなのかと思っていた
わ」とマドンジャラががっかりしたように言うと「思ったより木材関係の会社が少ないですね」と土霊副隊長の千葉ちゃん。「さっき宅急便の集配所があった
ね」「食品会社の大きな倉庫も見かけたよ」隊員が口々に言い始めたところで、探検隊は榎戸材木店に到着した。
新しい材木店が生まれた

榎戸材木店四代目という榎戸正人さんは、さっそく敷地内を案内してくれた。まず、建物の脇に唐突に置かれた木箱を指差して「これで木材の耐久テストをしています」と説明を始めた。木箱の中にはフィンランドのホワイトウッド、宮崎のスギ、天竜のヒノキが並べられていて、それらの耐久力を3年間に渡って調べているという。木箱の他にも、土の中に埋めたり屋外に放置したりと、異なる条件でテストしているらしい。 「どうしてこんな実験を?」というカズの質問に「エンドユーザーに木の説明や提案ができる木材屋を目指しているんですよ。
それには木の正しい情報を自分たちで確認する必要があります。これまでの問屋業だけではやっていけなくなったというのが正直なところですが・・・」と榎戸さん。

次に隊員たちは「本物の木の内装材展示場」に案内してもらう。隣接建物の2階に設けられた展示室は12畳大の広さで、床や壁には様々な樹種の無垢材が約180四方のサイズで張られている。訪れた人が、実際に見て触れられる点と、すべてに価格が明記されている点がポイントだという。「ここに来れば秋葉原で照明器具を選ぶのと同じ感覚で木を選んでもらえます」と榎戸さん。「実際に張った時の印象か゛分かるのがいいですね」床や壁に触れながらマドンジャラが言う。「木の値段というのは曖昧でわかりづらいイメージがあるから、価格表示はエンドユーザーにはうれしい。でも、ウレタン塗装は無垢材の良さを殺してしまいますよ・・・」エコロジー派の大場隊員がサンプルのひとつを見て直球発言する。「いやぁ、ごもっとも、私たち材木屋はこれからもっともっと勉強しなくてはなりませんね、」そう言いながら榎戸さんは、木場の歴史を隊員たちに紹介する。
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木場の歴史を知る

木場というのは江戸時代、木材の需要の多い大都市に設けられた材木場とその近くの材木屋街をさす言葉で、江戸の深川、名古屋の堀川端、大阪の立売堀などか 知られている。かつて木場は日本橋や神田に分散していたが、大火の原因となったため元禄時代に隅田川以東、深川界隈に移されたという。これが深川木場で江 戸東京のまちづくりのストックヤードとして大いに栄えた。その後、昭和に入って周辺の都市化が進むと、用地不足や風水害の際の危険性などが指摘されるよう になり、昭和47年頃から3回に分けて現在の新木場14号地埋め立て地にそっくり移転したのだという。「移転当時は拡大発展を続けていたんですが、ここ数 年状況が激変してきました・・・」という榎戸さんのさびしげな発言にマドンジャラが怒ったように質問をぶつける。「丸太や木はいったいどこにいっちゃった の?」「そうなんですよ、マドンジャラ、現在の新木場はかつての木材のまちではなくなってきています」そう言いながら、続けて新木場の現状を語り始めた。
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木のない新木場
一言でいうと木材の流通経路から新木場は外れてきているらしい。国産材、輸入材を問わず、木が丸太で入ってくれば製材工場が栄え材木店も商売できるわけだが、近年ほとんどの材が現産地での製材に変化してきているという。新木場の地代や人件費と比べるとその方が安いのだ。さらに産地から直接現場へという、いわゆる流通の合理化も大きな要因だという。
「今では新木場の半数近い材木業者が転廃業してしまいました。新木場にはご指摘の通り木が無くなってきているんですよ」と榎戸さんは声を落とす。「10年くらい前には新木場に行けばいい木が見つけられるといわれていましたよね」と千葉土霊。
「新木場に移った時に73社あった製材工場が今ではわずか6軒という寂しい状態です。このままでは木材のまち新木場は死んでしまいます・・・」危機感を強くした榎戸さんは、新しい木材屋の在り方、新木場の生き残る道を真剣に考え、いち早く方向転換を行った一人だ。「これからは施主が、自分の家をどんな木で建てるか決める時代です。木の家を建てたい人がどんどん足を運んでもらえるような情報を発信できる材木屋を目指します」と熱く語るのだった。
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空っぽの貯木場

その後、隊員たちは敷地裏手の岸壁に案内された。そこにはかろうじて榎戸材木店所有の巨大なラオスヒノキの原木が30本ほど浮かんでいたが、
柵で囲われた 広大な面積の新木場貯木場に目を移すと、何とそこには一本の丸太も浮かんでいないのだった。「これじゃあ、丸太乗りどころではないな」とカズがつぶやく。 「一本もないなんて・・・」秘かに丸太筏遊びを期待していた隊員たちは、新木場の深刻な現状をあらためて知ることとなった。
榎戸材木店を後にした探検隊は、新木場センタービルの屋上から新木場全体を見渡した。気持ちいい海の眺めとは裏腹に、隊員たちは二つある貯木場のもう一 方にも丸太が浮かんでいない事実を確認することになるのだった。「競艇場が二つあるみたいだわ」とマドンジャラが言った。
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大場隊員、腰を抜かす
探検隊は最終目的地に向かう。アジア最大といわれる15号地木材埠頭むに向かった。車で数分のところにある製材専用埠頭である。まず最初に気がついたの は、新木場と異なり大量の木材(外材)が積み上げられているという事実と、あたりに漂う防虫剤と防カビ剤の異臭だった。そして埠頭には巨大な船が横付けに なっているのだ。積み上げられた木材の間を岸壁に進んでいくと、突如隊員たちの目に息を呑むような光景が映った。「うわぁ、すごいすごい」マドンジャラが 声を上げる。巨大な船体から膨大な量の北米剤が次から次へともの凄いスピードで陸揚げされているのだ。大型のフォークリフト10台がアリのように動き回っ ている。これこそ外材(輸入材)が日本に上陸する最初の現場なのである。「日本で使われる木材の8割が外材だということは十分に理解していたけれど、これ には腰を抜かすなぁ」と大場隊員が圧倒されている。「15号地埠頭を見ずして日本の森を語るなかれ、といったところかな」と千葉ちゃんが言う。そうしてい る間にも木材の山が次々と埠頭を埋めていくのだった。
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海風好
「帰り道は少し外材でやられた熱を冷まそう」と探検隊は葛西臨海公園に移動して水上バスに乗った。上気した隊員たちの頬に海風が心地よかった。やがて船上から先ほどの15号地木材埠頭とそこに停泊する巨大な材木輸入船が見えてきた。「まるで戦艦のようだね」カズがつぶやく。
「木はどこから来てどこに行くの?除々に遠ざかる埠頭を見つめながらマドンジャラがつぶやくと、「そう、そのことを真剣に考えなくてはいけない時代なんだよ」と隊員が言った。とにもかくにも森のことを考える新しい現実を垣間見た探検隊は、榎戸材木店の新たな取り組みが成功することを心から祈るのだった。海風好・・・。
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「木のソムリエを目指して」
( (株)榎戸材木店 代表取締役 榎戸正人 )
当社はアメリカ、カナダの木材を扱う問屋ですが、去年から大きく方向転換し始めています。木材も流通の短絡化が進み、「問屋」というものが不要になりつつあるからで、それが木材問屋の街、新木場の衰退の理由だからです。
消費者と直接の接点を作るため、去年、「本物の木の内装展示場」を開設しました。価格も表示して、木材は値段がわからない」、本物の木を室内に張りたい けれど、寿司屋の時価みたいで高そう・・・と言われないようにしています。材料の販売のみですが、東京近郊でしたら、施工業者の紹介は致します。
消費者の皆さんは木のことをあまり知りません。今まで材木屋の直接お客は工務店だったので、消費者に木について説明する機会も無く、その必要もなかった からです。そこで一昨年の暮れに全国の木材業者、設計事務所、工務店に呼びかけて「インターネットを使った、木材に係わる人達の情報交換組織、LICC」 を設立しました。まだ会員数は150人ほどですが、これを足掛かりに、近い将来、消費者に直接、木の良さをアピールする組織、「木のソムリエ・クラブ」を 作ろうと考えています。
ワインのソムリエは、自分の店に在庫が多いワインや、儲かる品を薦めたりしません。お客様の好みや食べ物に合わせたワインを選ぶのが仕事です。
「木のソムリエも自分が売りたいものでなく、何年間住み続ける予定なの可、家を建てる場所の気候や条件はどうなのかに合わせて木材を選び、お客様の好み や、家のデザイン、そこに置く家具などに合った内装材をお薦めすることを目指しています。高くても100年持つ家が欲しい方には、ちゃんとそれに合った木 材を供給できますよ!200年持つ家と言われると、チョット頭を抱えてしまいますが・・・
当社はアメリカ、カナダの木材から国産の取り扱いに重心を移そうとしていますが、その理由は国産材の置かれている状況が、あまりにも悲惨だからです。 50年、60年かけて育てた山の木が、タダ同然にまで値下がりしているのをご存知でしょうか?LICCでは「日本の山を守りたい、それが日本の文化と国土 を守ることにつながる」という視点から、環境保護関係のグループと組んで、国産材普及のための様々な活動をしています。もし、木材関係や環境保護関係のイ ベントでLICCや榎戸材木店の名前を見かけたら、気軽に声を掛けてください。また、新木場にも、ぜひ、遊びに来て下さい。

「三匹のこぐま」は榎戸正人さんの原作と阿部恵美子さんの絵で構成されたかわいい絵本。 子供たちに木の家を正しく理解してもらいたいとの願いが込められたストーリーとなっている。 問い合わせは榎戸材木店まで

今回お世話になった榎戸材木店
代表取締役 榎戸正人氏
問い合わせ 東京都江東区新木場3−6−6
TEL/03−3521−552
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